休日のご参考に

映画のあらすじ・お店紹介・日々の出来事など

映画『ブラックパンサー』から学び始める-ブラック・ライヴズ・マター-

 

 

こんにちは、あまきです。

今回はマーベル・シネマティック・ユニバースのスーパーヒーロー映画が好きなアナタに興味を持って欲しい、

黒人への残虐行為への抗議運動ブラック・ライヴズ・マター(黒人の命も大切だ)を一緒に学んでいこうと思います。

f:id:centuryegg2:20200918203601j:plain

 

日本では2018年3月1日に公開されたスーパーヒーロー映画『ブラックパンサー』

僕はちょうどこの頃花粉症がひどくて、市販の薬もあんまり効かなかったので鼻水ズルズル。

周りの観客に迷惑をかけたくなかったので観に行くのを断念した思い出のある作品だったりします……

 

『ブラックパンサー』は第91回アカデミー賞で、作品賞にノミネートされました。

これはアメコミ映画・スーパーヒーロー映画としては史上初の快挙でした(受賞したのは作曲賞・美術賞・衣装デザイン賞の3部門)。

アメリカでは授業の一環でブラックパンサーを観に行く学校もでるなど、文化に名を刻んだ作品となりました。

 

『ブラックパンサー』の舞台はアフリカの秘境・ワカンダという架空の国です。

そのワカンダにはダイヤモンド以上の硬度、ウラン以上のエネルギー、

治癒力を活性化させる効力を持つヴィブラニウムというとんでもない鉱石が採掘できるんですね。

ヴィブラニウムのおかげでワカンダは桁違いの高度な科学技術を持つ国へと発展し、

その技術と、源であるヴィブラニウムを他国に悪用されないように、

愛するワカンダの平和のためにずっと鎖国をしている中で、

王様ブラックパンサーは周りの女性たちからチヤホヤされて育ち暮らしていました(言い方が悪い)。

 

ある日、ワカンダにキルモンガーという殺戮兵士が現れます。

キルモンガーはその昔ワカンダを追放された男の息子であり、

「ワカンダが他国に隠している技術と武器があれば、世界中で苦しんでいるアフリカ系民族を救えるのにテメェらなにやってんだ、俺がワカンダの王となり武力で同胞を救う」と言います。

そしてブラックパンサーと対決してキルモンガーが王位剥奪、

ブラックパンサーは一度地に落ちたことで、外に目を向けることで人間として成長、真のヒーローになっていくという話です。

 

この映画、多くの人の感情を揺さぶったのは国を守るために戦う主人公ブラックパンサーだけではなく、

悪役として描かれるキルモンガーの影響も強かったんですね。

多くのアフリカ系アメリカ人の祖先は、無理やりアメリカに連れてこられた人々で、

「同胞が自分たちを探しだし、助けてくれるだろう」という希望は散り、

連れ去られ奴隷にさせられました。ですのでその人々の子孫は、本当の故郷を知りません。

まさに映画の中のキルモンガーと同じ境遇なんです。

世界中で同胞たちが苦しんでいるのに何をやっているんだというキルモンガーの叫びは、

現実世界の成功者へのメッセージにも聞こえます。

 

 

 

現実世界では未だ黒人差別が根強く残り

2020年5月25日には偽札を使った容疑で拘束された黒人男性ジョージ・フロイドさんが、

警察官に膝で首を押し付けられ窒息死した事件がありました。

レイシスト(人種差別主義者)による相次ぐ黒人への残虐行為への抗議運動として、

ブラック・ライヴズ・マター(黒人の命も大切だ)が過熱し、日本でも大きく取り上げられています。

テニスの大坂なおみ選手が着用するマスクに亡くなった方々7名の名前を書いて抗議していた様子をニュースでご覧になった方も多いのではないでしょうか。

マスクにはジョージ・フロイドさんを始め、

2020年3月13日家に押し入った警察官に銃撃され亡くなったブレオナ・テイラーさん。

2020年2月23日ジョギング中に射殺されたアマッド・アーバリーさん。

2019年8月24日夜コンビニに行っただけですがニット帽とマスクという服装から不審者に見られてしまい殺されたエライジャ・マクレーンさん。

2016年7月7日車のライトが付いていなかったため警察官に止められ提示を求められた免許証を取り出そうとしたところ射殺されたフィランド・カスティールさん。

2014年11月22日公園で模造銃を手に遊んでいたところ通報があり駆けつけた警察官に射殺されたタミル・ライスさん(12歳ですよ……)。

2012年2月26日コンビニの帰り道に自警団気取りのバカに絡まれ口論の末殺されたトレイボン・マーティンさんの名前が。

大坂選手が「7枚では足りない」というように、それ以外にも不当な扱いを受けて亡くなっていった人々がいます。

 

そこで見ていただきたい映画は『フルートベール駅で』です。

 

『ブラックパンサー』と同じライアン・クーグラー監督作品で、

主演はキルモンガー役のマイケル・B・ジョーダンさんです。

白人警官が喧嘩騒ぎを起こした丸腰の黒人を射殺した2009年1月1日のオスカー・グラントさん射殺事件を題材に、

ライアン・クーグラー監督がオスカー・グラントさんを知る人たちから話を聞き、グラントさんの最期の1日を描きました。

 

グラントさんは不倫してしまったり、アルバイトの面接に落ちてマリファナの売人に戻ろうとしたりと、

とても善良とは言えませんでしたが、生活を知ることによってグラントさんの生を実感できました。

事件の目撃者が撮影した映像を使用することを当初ライアン・クーグラー監督は渋ったそうなのですが、

僕みたいな何も知らない観客が事件を知るためにも映像を使用してくれて良かったです。

見た人の心にちゃんと響かないと「あ〜悲しかった」という感情の消費だけで終わりかねないですしね……

 

このオスカー・グラントさん射殺事件が今に続くブラック・ライヴズ・マターのキッカケとなった事件ですが、

いままでもこのような事件は起きていました。

ですが証拠がなかったので白人警察はウソついて自身の罪をもみ消してきたらしいのですが、

2009年、取り押さえられたオスカー・グラントさんを警察官が射殺する様は

電車の乗客が携帯電話で撮影していたため、言い逃れができず殺人罪で起訴されました。

ですが殺人犯は「テーザー銃(スタンガン)と間違えた」と主張し、過失致死罪となり、たった11ヶ月の禁固刑で出てきました。

カメラ付き携帯電話が普及し証拠が残せるようになっても、警察官、裁判官、周りは敵だらけです。

 

 

 

次に見ていただきたい映画は『黒い司法 0%からの奇跡』です。

 

こちらもキルモンガー役のマイケル・B・ジョーダンさん主演で、実話に基づく作品です。

1987年アラバマ州モンロー郡で殺人事件が起き、

黒人のウォルター・マクミリアンさんが捕まり、

確かな証拠が何一つないのに死刑判決となりました。

不倫がキッカケで恨みを持った人から酷い噂を流され厄介者とされていたウォルター・マクミリアンさんに目をつけた検察が、

他の死刑囚に嘘の目撃情報を言うよう司法取引を持ちかけ、

ウォルター・マクミリアンさんは他人の罪をかぶって殺されそうになっていました。

 

マイケル・B・ジョーダンさんが演じるのは、ブライアン・スティーヴンソン弁護士

「最も困っている人のために闘え」という母の教えから、

ハーバード大学のロースクールを卒業後、

死刑囚専門の弁護士となり冤罪による死刑判決を受けたが貧しく弁護士を雇えない、

雇っても財産が尽きたら見放されてしまった囚人たちを救うべく非営利団体・EJI(イコール・ジャスティス・イニシアチブ)を立ち上げます。

「白人殺しの黒人なんて助けるな」

黒人差別が色濃く染み込んでいるアメリカ南部で大勢の敵を作りながらも、

ブライアン・スティーヴンソン弁護士とEJIの面々は依頼人の正義のために闘います。

 

ウォルター・マクミリアンさんを無実だと証明すべく、調査を始めます。

でも家族からのアリバイはあるのに証言が受けいれられなかったり

目撃情報を嘘だと証言できる人物は偽証罪で捕まったり、一筋縄ではいきません。

恐ろしいです……

「犯人はどうせ黒人なんだから、ダチのためにお前が犠牲になれ」

「お前が捕まると住民は安心するんだ」

真犯人を野放しにすることが本当に町のためなのでしょうか。

 

最後に、衝撃的な事実で本編が終わります。

それはこの殺人事件「ある白人の容疑が濃厚だが、検挙はされていない」ということ。

『黒い司法 0%からの奇跡』ぜひご覧ください(『キャプテン・マーベル』のブリー・ラーソンさんも出演されています)。

 

ブラックパンサー役チャドウィック・ボーズマンさんも弁護士を演じられています。

 

『マーシャル 法廷を変えた男』は、アフリカ系アメリカ人として初めて合衆国最高裁判所判事になったサーグッド・マーシャルさんが弁護士だった頃の話です。

1940年、雇い主の白人女性エレノア・ストルービングからレイプ容疑で告発された運転手ジョゼフ・スペルさんの無実を証明するため、

全米黒人地位向上協会の弁護士として活躍していたチャドウィック・ボーズマンさん演じるサーグッド・マーシャルさんがコネチカット州へ出向き、

現地の弁護士サム・フリードマンさんと裁判に挑もうとするのですが、

他州の弁護士を承認する法的必要性はないとされてしまい、サーグッド・マーシャルさんの発言は一切禁じるという仕打ちを受けます。

これまで刑事事件は受けず世直しを考えていない弁護士サム・フリードマンさんが全て発言をしなくてはならなくなり、

弁護士からささやき女将になってしまったサーグッド・マーシャルさん。

被告、原告、どちらからも嘘の臭いがするし、この裁判はどうなってしまうのか?

『マーシャル 法廷を変えた男』は、重い雰囲気の『フルートベール駅で』『黒い司法 0%からの奇跡』と比べると、

一番見やすいと思いますのでオススメです。

 

つづく−

 

参考文献