人間から迫害を受けている獣人が住む街アニマシティが舞台のアニメ「BNA ビー・エヌ・エー」
2020年春アニメで僕が一番気になっている作品です。擬人化された動物たちが可愛いんですよ〜。
少し前には肉食獣と草食獣の恋愛などを描いたアニメ「BEASTARS ビースターズ」、
もう少し前にはディズニーでウサギとキツネのバディもの「ズートピア」、
命や生き物の出会い・繋がりを大切にというメッセージがアツかった「動物戦隊ジュウオウジャー」など、
動物が人間のように暮らし、人間世界で実際にあるような社会問題を提議してみせる作品が近年増えてきたように思います(嬉しい)。
今回紹介するのは黒猫探偵・ブラックサッド。
作画のフアンホ・ガルニドさんは、マーベル・コミックの作画やディズニーでアニメーターをしていた漫画家です。
細かく書き込まれた背景、とても豊かな表情で親しみのわくキャラクター、全編通して水彩画が美しく、パラパラとページをめくっているだけでも楽しいんですよ。
作風はビターなハードボイルドサスペンス。今回の「赤い魂」では、名声や力を求めて道を踏み外した者たちのお話です。
ブラックサッド 赤い魂(※ネタバレあり)
原作:フアン・ディアス・カナレス
作画:フアンホ・ガルニド
発行:2013年10月4日(日本)
主な登場人物
ジョン・ブラックサッド
1950年代のアメリカで探偵をしている黒猫が主人公です。
警察署長の犬と仲が良いです。トレンチコートを汚されることは歓迎しません。
オットー・リーバー
その昔、ブラックサッドに勉強を教えてくれた先生。現在は原子力の開発に携わり、敵も多いです。
アル・カポネがお子ちゃまに思えるくらいの腕の利いた殺し屋に狙われてしまいます。
あらすじと感想
お金持ちの亀じいさんの護衛をしていたブラックサッドは、じいさんの気まぐれで故郷に帰ってきました。
じいさんがラスベガスで買ったお金で絵画を買う目的でやってきたのですが、この護衛が最後の仕事となるようです。
護衛は何事もなく終わりさてこれからどうしようかって時に、原子力についての講演のフライヤーが目に入って行ってみることに。
その講演は、古い友人であり恩人、フクロウのオットーによるものでした。
リーバーは原子力の開発に携わりノーベル賞候補、そしてインテリ左翼グループの一員となっていました。
左翼グループのパーティーが終わった後、その中の一名が殺されました。
殺人犯を見つけるよう依頼を受けたブラックサッド。しかし、グループの後ろ盾をしていた慈善家のダルメシアンは、何やら様子がおかしい……
調べる中で、オットーの怪しい取引場面に遭遇。不思議に思っていると、起爆装置を持ったワニを発見。
考えている場合じゃあない!走り出すブラックサッド!リーバーは間一髪助かります。
ブラックサッドがリーバーの車に駆け寄るコマの緊迫感も、次のコマ大爆発も迫力がすごい。爆発なんて見開きではなく1ページの半分だけなのに本当にダイナミックなんですよ。
なんでリーバーが狙われているのか。実は彼はナチスの残党で、数ヶ月の間ロシアに水素爆弾を作るのに必要な情報を流していたのでした。
歴史の教科書に名が載っている偉大な学者が、権力欲しさに政界の上層部に入り込もうとして後に戻れなくなってしまった……
そして核を恐れたダルメシアンは、核シェルターを餌にされ上院議員に買収されます。
自分だけ助かろうとしているダルメシアンの目は、完全にイかれています。
現在現実の世界では、脅威的な新型コロナウイルスに脅かされています。
そんな中、マスクや食料を買い占めている人たちの姿はとても醜く愚かです。
人間は不安に煽られると本性が出ます。自分だけが助かろうとしない、貢献に対価を求めてはいけない、ダルメシアンやフクロウにならないように、心がけたいと思います。
あわせてオススメ
ブラックサッドシリーズはいくつか出版されていますが、読み切りなのでどこから読んでも大丈夫、気になった物語から読んでください(ちなみに赤い魂は3作目)。
ブラックサッド1作目は、昔の恋人が殺された事件の捜査。アクション多めです。
2作目は、白い動物たちによる白人至上主義(まんまKKK)が横行する町で起きた、黒人少女失踪事件を追うお話です。