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映画「フルートベール駅で」丸腰の黒人青年が白人警官に発砲された殺人事件を忘れてはいけない

2009年元日、カリフォルニア州のフルートベール駅で起こった「オスカー・グラント三世射殺事件」を題材にした作品「フルートベール駅で」。

救いのない話ですが、でもこれが現実。マイケル・B・ジョーダンの演技が素晴らしいです。

 

フルートベール駅で(※ネタバレあり)

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監督:ライアン・クーグラー 

脚本:ライアン・クーグラー

公開:2014年3月21日(日本)

 

主な登場人物

オスカー・グラント三世(マイケル・B・ジョーダン)

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アメリカのオークランドに住む元ドラックディーラーの男性です。22歳。2009年元日に鉄道車内でケンカを起こしたとして警官に引きずり降ろされ射殺、この世を去ります。

 

 

 

感想:こんなことがあって良いはずがない。

2009年元日にフルートベール駅ホームで警官に取り押さえられている黒人たち。地下鉄の乗客が撮った実際の映像から始まり、銃声のあと画面が真っ暗になります。

この作品は、被害者オスカーが亡くなるまでの最後の1日を描いていた作品で、オスカーを知る人物たちへのインタビューを通して知った人物像をそのまま描いています。

オスカーは元ドラックディーラーで、足を洗ってからも寝坊を繰り返し仕事をクビになったり、浮気もするし決して立派な人とは言えません。2008年には麻薬売買で捕まり刑務所に入っています。

しかもオスカーが住むオークランドには黒人やメキシコ系のチンピラが多く、犯罪率は全米ワースト5らしいです。チンピラだからって殺されても同然なの?(僕も禁止区域での歩きタバコやポイ捨てをする人は見下していますが自分勝手に裁きだしたらこっちが犯罪者になってしまう……)

 

何をされてもやり返さない、非暴力で訴えたキング牧師や黒人初のメジャーリーガージャッキー・ロビンソンとは違って、オスカーはケンカっ早く、刑務所でもレイシスト囚人と睨み合う日々。

2009年元日早朝の地下鉄内でそのレイシスト囚人と出くわしてしまい、殴り合いに(先に手を出したのは相手の方)。

騒ぎを聞きつけやってきた警官はオスカーと仲間の黒人だけ捕まえます。ケンカ相手は探しもされないのはなぜ?白人は人を殴っても良いの?

話を聞いてもらおうと立ち上がるオスカーを地面に押さえつけ、警官は銃で撃ち殺します。

オスカーの母親は、亡き息子に触れることもできません。これは「殺人事件」だからです。

射殺した警官は「テーザー銃(スタンガン)と間違えちゃいました」といい刑が軽くなりました。

 

 

 

1964年、キング牧師をはじめとするアメリカ合衆国における人種偏見を終わらせるための非暴力抵抗運動によって、法の上での人種差別は無くなりましたが、

フルートベール駅での2009年オスカー・グラント三世射殺事件、

2012年、夜コンビニで買い物して帰ろうとしていた少年をボランティアで見回りをしていた男性が撃ち殺したトレイボン・マーティン射殺事件、

2014年のマイケル・ブラウン射殺事件でわかるように未だ人種差別が根付いています。

アフリカ系アメリカ人の初大統領となったバラク・オバマ元大統領の次に選ばれたのが差別的な発言の多いドナルド・トランプ、多くの国民の本音がよく現れていて最低にクソだと思います。

 

「フルートベール駅で」は、車に轢かれた野良犬を助けようとする者はいません。

この映画を見ていると、アメリカ側の有色人種への扱いが野良犬と同じように思いました。

この作品は実際に起こってしまった事件がベースになっています。

映画だから、自分は黒人じゃないからといって第三者になってはいけない、誰でも自分自身に置き換えることができるし、そう考えて問題定義していかなければならないと思いました。

 

 

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