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【映画】映画の力でシャロン・テートを墓場から救いたいんだ!「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

ユダヤ人がヒトラー含めたナチ供を燃やし尽くす「イングロリアス・バスターズ」や黒人奴隷が南部の白人に復讐する「ジャンゴ 繋がれざる者」のクエンティン・タランティーノ監督9作目(キル・ビルVol.1・2を1作とカウント)は、

監督が幼少期を過ごした1969年アメリカ、その中でもハリウッドが舞台で、そして同年に起きたカルト信者による悲惨な女優殺害事件を題材としたこちらです!

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(※ネタバレ有り)

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主な登場人物

シャロン・テート

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哀愁の花びら」で知られる、実際にいた女優さんです。マンソンファミリーの自宅襲撃により26歳の若さで亡くなりました。本作では、結婚してお腹には赤ちゃんができて幸せな日々を送っているところがほとんどで、この幸せがカルト信者の手によって壊されてしまうのかと思いながら1969年8月9日の殺害事件が近づいてきます。

リック・ダルトンとクリフ・ブース

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リックは西部劇ドラマで人気を博すも、変わりゆくハリウッドの中で映画への意向が上手くできずに50年代に取り残された落ち目の俳優です。タイ・ハーディン、エド・バーンズなどスティーヴ・マックィーンになれたかもしれないのに時代の波に乗り切れなかった実際の俳優たちから着想を得て出来上がったフィクションのキャラクターだそうです(マックィーンではなくリックが「大脱走」主演に選ばれていたらという妄想が泣けるし笑える)。アル中の設定は、演じるレオナルド・ディカプリオの案。あとすぐに泣きます。

クリフはリック専属のスタントマンです(元軍人だし「イングロリアス・バスターズ」のアルド中尉を覚えているとニヤっとしますね)。ハリウッドから何本も高速に乗らないといけない遠くのトレーラーハウスで暮らしていますが、ハリウッド暮らしで現状をどうにかしようと焦ってはいるリックとは対照的に、人生なんとかなる、生きてるだけでハッピーって感じの人です。飄々としていてめちゃくちゃカッコいいです。

 

 

感想:事件としてでなく、人としてシャロン・テートを知ることができました

昔々あるところに…と曖昧な表現をタイトルで使っている割に場所は特定されていて60年代のハリウッド、終盤は時間もガンガン刻まれてこれから何が起こるんだとハラハラドキドキしてしまうこの作品は、落ち目俳優リック・ダルトンの西部劇の番組から始まります。振り向きざまに西部劇のそれっぽい顔芸をディカプリオが披露してくれて、あ、この作品、俺好きだわと思わせてくれました。リックの作品を見て感激したという映画プロデューサーから、ハリウッドにいてもこのまま堕ちていくだけだという現実と、イタリアの西部劇映画への出演を勧められたリックは話し合いを終えるなり「俺はもうダメだ」といい歳した大人がベソかいちゃって、クリフに慰められる姿がどうしようもなく愛らしい。

今では主役の仕事はなく、ゲストの悪役として食いつないでいるリックはそれでも一生懸命で、酒飲みながらセリフを覚えようとするのですが飲みすぎちゃって翌日はバッドコンディションで撮影現場入り。衣装合わせで大嫌いなヒッピー風のロン毛にされ、ノリが乾いてないからと昼食を禁じられたのでコーヒーを少し飲んでそこらへんに投げ捨てるとそこには子役の女の子がいて。

読書の邪魔しないから隣に座ってもいい?と言いながら座るやいなや大きな音で鼻をすすり、タバコの煙は女の子の方へ流れ、タンを吐き捨てるというクズっぷり。女の子にご飯食べないの?と聞くと休憩後すぐに出番があってご飯を食べると頭が鈍るから食べないのと言います。

仕事に全力をだせるように行動する8才の女の子に役者魂を見せられるポンコツのリックは、セリフ飛びまくりで大恥をかいて控え室に戻り「なんで8杯も酒を飲んだんだ!」「もう絶対に飲まない!」と言った直後に置いてあるウイスキーをキュッと飲んで外にボトルを投げ捨て、あの女の子にリック・ダルトンの演技を見せつけてやるんだと意気込みます。

気合いを入れた次のシーンでは、アドリブも効いて素晴らしい演技ができました!迫力あってかっこいい悪役を演じたリックに8才の女の子がこう言います「生きてきた中で一番いい演技だったわ」それを聞いて涙ぐむリック。もうおかしすぎる。ディカプリオが泣いたり喚いたりするのめちゃめちゃ似合ってて最高ですね。もうずっと見ていたい。

リックの仕事が減り、専属スタントマンとしての仕事もなく送り迎えをしたり上半身裸でリック家のテレビのアンテナを付け直したり雑用をしているクリフですが、こちらは飄々としていて、生きているだけで最高って感じに憧れちゃいますね(犬の餌はあげすぎなので、そこはしっかりした方が良いと思いますが)。

あとブルースリーをぶっ飛ばしちゃうの面白かったですね。ファンや親族はいい思いをしないかもしれませんがタランティーノ監督は、ブルースリーのなんらかの作品の撮影裏だかなんだかをみて「多分あんな感じだったと思うんだよね。それにクリフは元軍人だから俳優に負けない。」みたいなこと言ってて笑えました。

そしてクリフパートのきもは、度々描かれる運転シーンですよね。結構長くて最初はなんだこれって思ったのですが、少しすると風景やラジオで昔のハリウッドを感じさせてくれているんだと気づきました。CG嫌いのタランティーノ監督のこだわりとあの頃のハリウッドへの愛が詰まっているのでこれだけでも見る価値あると思いました。

2人の創造されたキャラクターとリック宅の隣に越してきた上り調子の女優シャロン・テートの日常を通して60年代ハリウッドの輝かしさを見ることができましたが、実際に起きたシャロン・テート殺害事件という闇の部分を題材にしているため、事件が起きた1969年8月9日へ徐々に近づいていきます。

シャロンパートは、家でレコードかけて踊ったり、夫のために注文した本を取りに行ったら通りかかった映画館で自身の出演作が上映されていて、どうしようかな〜ん〜やっぱり見よって感じで会場入りし、観客の反応を気にしている姿がとてもキュート。

そのうちお腹に赤ちゃんができて幸せいっぱいのシャロンですが、やはりあの日はやってくるのです。シャロンが越してきた家の前の住人に恨みを持っていたチャールズ・マンソンが信者たちにあの家の住人を殺してくるよう命令します。

信じるチャーリーの仰せのままにオンボロ車にのってやってきた若者4人。闇夜に紛れて侵入しようと企んでいます。すると深夜にうるさい車が私道に入り込んできたとブチ切れたリックが車に乗っているヒッピーたちを追い払います。

追い払われた信者4人は、遠くで車を止め、シャロン邸へ向かおうとするのですが、さっきのあいつリック・ダルトンじゃね?ってなって、むかつくからあいつを殺そうぜって方向に。バカなカルト信者を嘲笑っているかのような展開ですね。

そしてリック邸に押し入る3人(1人逃げた)は部屋にいたクリフに銃を突きつけますが、クリフはラリっていて全然緊迫しなくて、ここから先の戦いはまあいつも通りのタランティーノ作品って感じで終始ずっと笑っていられるのですが、クリフの愛犬ブランディがやられないかだけヒヤヒヤしました。

部屋ではブランディとクリフがマンソンファミリーと戦い、外のプールでは何も知らないリックがぷかぷか浮かびながらヘッドホンをしてセリフを覚えていると、やられた信者の女が狂って外にでてきてようやく異変に気づくリック(ビックリする仕草がたまんねえ)、そして倉庫から以前ドラマで使った小道具の火炎放射器を持ち出し信者を焼き尽くす!最高だ!

こうしてマンソンファミリーを片付けたリックとクリフ。取り調べ後負傷したクリフを見送っていると、お隣さんが出てきて「なにかあったんですか?」

実際の事件で亡くなった人たちはもう取り戻せませんが、映画という魔法を使って死者が生き続ける作品を作り、犯罪者を成敗。僕は恥ずかしながらシャロン・テート殺害事件のことは映画を観る前に調べるまで知りませんでしたが、事件の被害者として語られることも多いらしいシャロン・テートの日常を描くことで「事件」としてでなく「人」として「女優」として彼女を知ることができたことがとても嬉しかったです。

 

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クズなディカプリオが見たい方におすすめ。ラリった状態で車運転するシーン好きです。