アニメ「TIGER & BUNNY」では、広告塔となるヒーローのスーツにスポンサー名が書いてあったり、ヒーロー活動はテレビ中継されているのでCMが明けてから犯人を捕まえるなど商業としてのヒーロー像が描かれたり、
特撮ドラマ「仮面ライダーアマゾンズ」ではどちらが正しいのかわからないお互いの正義がぶつかり合う様をテレビで放送できないくらいの気持ちの描写で見せられたりしてきましたが、
いや〜今回の「ザ・ボーイズ」はまた違った角度から新たなヒーロー(を装った悪人どもですが)にワクワクさせられてしまいました。
ザ・ボーイズ(※ネタバレ有り)
主な登場人物
ザ・ボーイズ
ヒューイ・キャンベル
小さな電気屋で働く青年です。歩道で彼女と浮ついた話をしている時に瞬足ヒーローAトレインが衝突し、彼女が粉々になってしまいます。
ウィリアム・”ビリー”・ブッチャー
元FBI捜査官でボーイズのリーダーです。ホームランダーと会った後に消息不明になっている妻を8年間探しています。
フレンチー
銃の密輸をしているフランス人です。ブッチャーからヒーロー殺しの手助けを頼まれます。
マザーズミルク
少年院で働いている黒人です。マザーズミルクというキラキラネームはあだ名ではなく本名。
キミコ
テロリストです。監禁されヒーロー用ストロイド「コンパウンドV」を打たれ身体能力や回復能力が異常に発達しスーパーパワーを得ます。救出してくれたザ・ボーイズと行動を共にします。
セブン
ホームランダー
リーダーです。怪力、飛行、透視、目からレーザーなどスーパーマンのような能力ですが、その能力で邪魔な政治家を消し、市民を見殺しにしても何もおもわず、仲間を脅す悪人です。
クイーン・メイヴ
強靭な肉体を持つアマゾネス風のコスチュームを着たワンダーウーマンっぽい悪人です。ホームランダーの悪行を冷めた目で見ているけど、静観しているだけのテメーも同罪だからな!
ディープ
海の支配者でイルカたちと会話できるアクアマン風のクズです。新人のスターライトを脅しチンチンをしゃぶらせたり、水族館のイルカを助け出そうと不法侵入し連れ出すもそのせいでイルカを殺してしまったりするどうしようもないやつ。
ブラック・ノワール
覆面で顔を隠し暗器で戦う翼のないバットマン的なやつ。こいつも悪いやつなのか?謎です。
Aトレイン
高速で走れるフラッシュのパクリ野郎です。コンパウンドVでハイになった状態で走り回っている時に女性に衝突し一瞬のうちに肉片に。人を殺したことに何も思っておらずヒューイに復讐される悪人(ざまあみろ)。
トランスルーセント
光を捻じ曲げ身体を透明に見せ、全裸で女性トイレを覗く変態です。
アニー・ジャニュアリー/スターライト
電気を操るスターライト!この作品で唯一の救い、まともなヒーロー(ヒロイン)はこの子だけ!(ブラック・ノワールはわからんけど)
新入社員スターライトが夢見たセブンは汚職や圧力なんでもありのクソ組織でした。それでも負けずに立ち向かって行く姿は、僕みたいな雇われの末端社員には見てて気持ちがいいっす。
感想:復讐の先に栄光はない
何百名ものスーパーヒーローが所属する会社、ヴォート社。そこでは人助けをするヒーロー活動の他にも映画作製、CMキャラクター、グッズ化などなどヒーローで商売をしています。何百名もいるうちの優れた7名のヒーローは「セブン」と呼ばれる売れっ子集団で、スターライトは幼い頃からセブン入りを夢見ていました。そして念願叶いオーディションに合格、晴れてスーパーヒーローの仲間入りを果たすのです!
しかし、そこで待っていたのは困っている人を助ける自己犠牲を厭わないヒーロー活動ではなく、メディアへのアピールのための活動ため。任務外でレイプさせそうな女性を助けたら、男達を殴ってるところだけの動画がアップされ問題になってマネージャーみたいなやつに叱られるのですが、
襲われていた女性が名乗り出て真実が報道され世間からの支持率が上がると手のひらを返して良くやったと言い、これからあなたを売り出すからヒーロースーツを露出の多いものに変える、このスーツでなければセブンはクビと副社長のマデリンとかいうクソ女から圧力をかけられたりと理想に描いていた会社とは違っていたのでした。
このマデリンとかいうクソ女がマジで胸糞悪い。こいつはヒーローを軍へ参入させ一儲けしようとしているのですが、反対する政治家をハメて強請ったり、赤ん坊にヒーロー用ステロイドのコンパウンドV(名前がバカっぽくて好き)を打ってスーパーパワーを養殖していたり、完全に悪人。はやくシバかれろとずっと思っていて、シバかれた時にはスカッとするかなと思ったのですが実際その場面は引いちゃいました。
この作品、シバかれたら血を流して倒れるとかじゃあなくて、肉片が飛び散ったり骨が出たりするから悪人でもシバかれたら「えっ……」ってなります。しかも、それをギャグとして描いているのがタチが悪い。ギャップで余計に「えっ……」ってなります。
ディープがイルカを連れ出した時のスローモーションなんかマジで最悪でしたね。店で売ってる生きたロブスターを逃がしてあげようとして買ったらその場でおろされたのはちょっと笑っちゃいました。
あとはなんだろうなあ、ヒーローが難病の子どもに会いに行くやつもネタにしてて引きましたね。あれはよくない。
Aトレインは彼女のポップクロウを殺しますが、自分を窮地に追い詰めポップクロウを殺させたザ・ボーイズに向かって「俺が殺した、でもお前のせいだ!」とか言ってて、あ〜こういう話の通じないバカってたまにいますよね。怖い怖い。
ポップクロウはヒロインですがセブンではなく、家賃の支払いが遅れていてセブン以外のヒーローたちの生活は苦しいのかなと思ったり。あとハーレイ・ジョエル・オスメントくんが出てくるのですが、それが子役の頃ヒットした作品のイベントをおじさんになった今でも行なっている一発屋の役で笑いました。
「真のヒーローはあなたたち 我々は助っ人だ」などとそれっぽいことを言っていたホームランダーが、墜落しそうな飛行機の乗客を見殺しにしたり(1人でも助けると見殺しにしたことがバレるから誰1人助けない)と全体的に胸糞の悪いドラマですが、スターライトが自分の正義を曲げずに頑張る姿にこの世界にも希望を感じるし、ミートゥー運動なども入ってきてこの先どうなるんだろうなって感じです。シーズン2も楽しみです!
こちらもオススメ
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RHYMESTERの宇多丸さんが「ザ・ボーイズ」の話をしている時に引き合いに出していた短編漫画です。圧倒的なスーパーパワーを持つウルトラスーパーデラックスマンに人々が怯えているのですがこれは……ホームランダーですね。