新型コロナウイルスの拡散を防ぐため外出自粛要請がでている緊急事態な現在。
出勤もできなくなってしまったので大人しく自宅待機しているので、靴を履く機会がかなり減りました(ゴミ出しとスーパー行くくらい)。
そんな状態で今日は、ふと「なんか無性にスニーカーが履きたい……」と思ったのですが、履いてお出かけはできない。
ということで、コレクターたちがスニーカーの歴史やどれだけ好きなのかを語る「ジャスト・フォー・キックス」を久しぶりに見ることにしました。
JUST FOR KICKS(※ネタバレあり)
監督:ティボ・ドゥ・ロンジェヴィル、 リサ・レオン
公開:2007年5月19日(日本)
あらすじと感想:イカれてるけどスニーカーの話をしてる時みんな生き生きとしてたから見ていて気持ちよかった
コレクターたちは語る。
以前はただの運動靴だったものがファッションアイテムへと変わっていったキッカケは、70年代半ば。
スニーカー文化はバスケットボールが始まりなのですが、定番スタイルになったのはヒップホップの影響がとても強く、
ブーム時のNYなんかでは乗客皆んなが下を向いて他人のスニーカーをチェックしていたようです。
ヒップホップアーティストたちに影響を受けるのは若者世代。新しいスニーカーを買うお金がないので、ブラシを携帯して常にキレイにして新品のように見せることが重要でした
(スパイク・リー監督作「ドゥ・ザ・ライト・シング」にスニーカーを自転車に踏まれブチ切れるシーンがあり、映画の影響も大きくあってスニーカーを綺麗に保つというのが一般常識になったそうです)。
そして汚れを落としからシャレた靴紐を結ぶ。紐がない靴は空っぽの銃と同じだとかなんとか。
最新のスニーカーを履いていると女からはモテるし、男からは一目置かれるのですが、お金がないので靴紐の色や太さを変えるで個性を出しました。
洋服にスニーカーを合わせるのではなく、スニーカーに洋服を合わせるんだとコレクターは言います。
Run-D.M.C.の登場により、それまではそこそこだったアディダスの人気が爆上がり。
大人の反スニーカー運動が起こるほどのムーブメントを巻き起こしました「社会に加わりたいなら不良みたいなスニーカーは履くな!」
いつの時代だって大人の知らない若者の流行は、子の成長に悪影響を及ぼすものと言われがちなんですね。今の時代はゲームがまさにそれ。
アディダスはRun-D.M.C.と契約して、これはスポーツ選手以外で初めての出来事。
これに続けとフィラやナイキなど他メーカーも動き始め、ナイキはマイケルジョーダンという幸運のスーパースターと契約を結びます。
有名選手は他社メーカーに根こそぎ取られてしまい、新人選手と契約するという英断は、まさに週刊少年ジャンプ。
スニーカー人気はとどまることを知らず、スニーカー狩りが多発したようです。
給料が入った社会人が服やスニーカーを買いに行くと、お金のない若者がそれを狙う……
店の店員は銃を突きつけられ「新品のジョーダンを出せ!」
ナイキの限定品ピジョンが発売する時は4日前から店前にテント張って順番待ちしてるヤツがいたり、購入後は襲われないように警官に護衛されながら店を出たらしい。
新品を履くと狙われるから、わざと汚したりもしたんですって。キレイに保つことが重要だったのに。
皆んながスニーカーを履くようになったので、ミーハーどもと一線を隠すために、熱心なコレクターたちはデッドストックや外国モデルを探し始めました。
スニーカーへの追求が強迫観念となり、どんどんエスカレートするコレクターたち。
「ドラッグはやらなくなったが、スニーカーは集め続ける」
「スニーカーを踏まれたら、警官でも殴るぜ」
「インターネットは使わない。飛行機でどこへでも飛んでいき、現地の女を抱いて、スニーカーを買う」
「ニューバランスはランナー用。警察から逃げる時に使える」
などなどパワーワードの連発で笑えます。人生楽しそうで羨ましいです。
他にも「生まれてくる子どものために赤ちゃんから小学生までナイキのサイズを準備してあるぜ」って人や、
「同じスニーカーは2度と履かない。新品についたタグを履く時にちぎれば新品を履いていると実感する」などというとんでもないコレクターまで出てきます。
そして最後にはコレクターの奥さんが出てきて、「収集をやめてほしい」と言い出し、ちょっとムッとする旦那。
「将来のことを考えてほしい、夫は過去に生きている」と言う奥さんに旦那さんは「今は良いスニーカーがないッ!」と強く言い返すのですが「人生の話をしてるのよ!」と一蹴されるのが面白かったです。
まあ、僕もフィギュアとかゲームとかで同じような状況ではあるので……背筋が正される終わり方でした……
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スニーカーブームの歴史よりも前、スニーカー自体が誕生した歴史から、東京に渡ってきてどのようにブームを迎え、ソールの加水分解により一気に終焉、そして平成後期に再ブームが起きるまでが詳しく載っています。
スニーカーを知るのに便利な一冊です。
お題「#おうち時間」