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主に映画のあらすじと感想を書いてます。

ドラマ「アンオーソドックス」私は出産マシーンじゃない。ユダヤ教超正統派の習慣を描き、否定してみせた意欲作

 

 

ホロコースト(第二次世界大戦でナチスが行ったユダヤ人大虐殺)で減った同胞を増やし再建するため、

前戯もなしで機械的にチンチンをぶっ刺され出産マシーンとして扱われるユダヤ教・超正統派の女性たち。

そのコミュニティーで育って見合い結婚した主人公・エスティは、

子供ができないことへの周りからの圧力に耐えきれず、自身の人生を歩むために超正統派から逃げ出しました。

逃げた先は、ドイツ。

ユダヤ人を迫害しホロコーストを起こした地で彼女は、何を思って生きていくのでしょうか。

 

アンオーソドックス(※ネタバレあり)

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原作・制作:アンナ・ヴィンガー、アレクサ・カロリンスキ

配信:Netflix

 

 

あらすじと感想

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主人公・エスティはニューヨーク州ウィリアムズバーグで暮らす超正統派の女性です。

夫は王様、私は世話係で出産マシーンとして扱われる日々に疑問を抱き、外国へ逃げ出そうとしているところから始まります。

荷物をまとめて夫がいないうちに家から去ろうとしますが、アパートの入り口に住人たちが群がっている。

超正統派の人たちは、安息日は街に張り巡らせたエルブという透明の糸が張られた結界より外にはいけないらしいのですが、

そのエルブが切れてしまったために外出できないのだと言います。

 

僕はユダヤ教のことは全くわからないし、エルブとかめんどくさくねって思ってしまうのですが、

この人たちにとってはとても大切なしきたりで、エスティにとっても同じ。

ですが、今までそう教わって信じてきたことを破って外国へ旅立つという、大きな一歩を彼女は踏み出すのです。

 

この作品には、彼女が別世界へ踏み出すことのメタファーとして道路の向こう側を渡るかどうかといったシーンが何度も描かれています。

家出先をドイツにしたわけは生みの母親が住んでいるからなのですが、

道路の向こう側に生みの親を見つけても渡っていけずに逃げてしまったり(超正統派では許されていない同性愛者だったため)、

これからどうしたもんかとコーヒー店で暇を潰していて知り合った、大量のコーヒーを運ぼうとしている学生を手伝ってあげた時に、道路を渡って訪れるシャルハイム音楽院。

そこで聴いた音楽にエスティは感銘を受け、学生たちと出会い、新しい自分の居場所を見つけます。

 

暇だしついて行ってもいい?と聞いて学生たちとやってきた美しい湖から見えるのは、1942年にナチがユダヤ人を収容して殺すことを決めた別荘だという。

その湖で楽しく泳いでいることに疑問を持つエスティですが、湖に罪はないよと言われます。

「ベルリンの壁があった頃は、泳いで西へ逃れようとすると東ドイツ兵に撃ち殺された。今は、どこまででも泳げる」

私も泳いでいいの?困惑しつつも湖へ向かうエスティは、カツラを脱ぎ捨て、湖で浮かんで自由を実感します。

超正統派では、女性の髪は男性を魅了するとされ結婚すると坊主に刈り上げ、普段はスカーフを巻いたりカツラを被って過ごすそうです(カツラは良いのかよ)。

エスティの行動は、彼女らが信じる神への冒涜なのでしょうか?

 

 

 

学生たちはドイツだけでなくイエメン・イスラエル・ナイジェリア・ポーランドなど様々な国出身。

自分の短髪を個性として見てもらえる。

多様性を認め、一人の人間として見てもらえる場所へやってこれた。

“危険を持たらすもの”とされ禁止されていたインターネットは便利だし、初めて食べる豚肉は美味しかった。

私はこの知らない地で変われる……?

 

現実の世界では現在新コロナウイルス感染拡大が大きく問題視され、外出や他者との接触をしないよう呼びかけられている中でも、

超正統派はそれを無視して集団での伝統を続けた結果、感染が拡大し問題になっているそうです。

ホロコーストで失った同胞の数を取り戻そうとしているのに、これで死者が続出したら元も子もなくないか??

正直、何も知らない僕には過去にとらわれすぎて時代についていけていない人たちに見えてしまいました。

主人公エスティは、過去にとらわれた超正統派を抜けて、今を生きる道を選びました。

このドラマは、宗教観を否定することを恐れずに「声を上げた」素晴らしい作品だと思います。オススメです。

 

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